上島Stories

Kamijima stories

学び舎の歌

2015年07月27日 有馬 啓介


昭和30年代初頭の岩城小・中学校 岩城村誌編集委員会『岩城村誌 下巻 現代編』岩城村 昭和61年 から

 生まれ育った土地を「ふるさと」とするのであれば、私にとっての「ふるさと」は、山口県の瀬戸内海に面した町、宇部になります。この地で慣れ親しんだ風景は、しばしば小学校の校歌と共にまぶたに浮かびます。高台にある学び舎から見渡す「ふるさと」の山光水色は、母校の校歌に歌い上げられています。私の「ふるさと」の海は、瀬戸内海です。

 上島町内の学校の現在の校歌は、昭和10年代から50年代にかけて作られました。校歌には、地域の自然景観や歴史、子どもたちが豊かで健やかに生きるための徳目がちりばめられています。校歌で歌われている自然景観について、少しだけお話ししましょう。

 町内の学校の校歌には、必ず海が登場します。「静けき海、澄んで流れる青い汐、金の波」等と表現された瀬戸内海です。弓削小学校の校歌では、「静けき」という表現が2度使われています。また、魚島小学校と中学校では、「金(の)波」と歌われています。弓削小学校と中学校の校歌では、瀬戸内海の代表的な景観であった「白砂青松」が歌われています。

 「立石の そびえる岩」(生名小学校)、「山は積善 岩城富士」(岩城小学校)、「雲間に遠く 石鎚の 輝く峰」(弓削中学校)等と表現された景観は、今も変わりません。岩城小学校や中学校では、「明るい村の かおる土」、「けがれなき清らなる土」といった歌詞が見られます。

 豊かな自然は、感性豊かな子どもの大きな規範です。夏は、自然の中で子どもが大きく成長する季節です。

 

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