上島Stories

Kamijima stories

潮騒の青春

2015年08月26日 有馬 啓介


講堂での卒業式 弓削町役場『弓削町広報』第70号 昭和38年 から

 梅雨の晴れ間となったある休日の朝、私は、国立弓削商船高等専門学校の図書館に立ち寄りました。そこでの用事を済ませた後、少しの間校内を歩きました。運動場の西側の道を北に歩いていると、北門の近くに門柱が見えました。二本の門柱のひとつには、「弓削商船高等学校」、もう一方には、「白砂寮」と書かれた表札が掲げられていました。弓削商船は、今年創基114周年を迎えた名声高き伝統校です。その校名と門の変遷を見ていくと、学校の発展の歴史を知ることができます。

 運動場の北に位置する宿舎棟の入口には、堂々とした花崗岩製の門柱が見られます。その門柱の傍らには「弓削商船学校発祥の地」と記された記念碑があります。この辺りは、弓削商船高等専門学校に昇格する昭和40年代前半頃まで、弓削商船の中心でした。その時代、この正門の奥には大正2年(1913年)竣工の本館があり、その北西には昭和16年竣工の講堂がありました。

 先述の北門近くの門柱は、昭和36年に完成した新寮の正門に当たります。昭和30年代から40年代初頭にかけては、学内外で高専昇格運動が展開され、現在の弓削商船の礎が築かれた時代です。その後、校地は南へ拡張され、白砂寮は日比地区に移転しました。

 弓削商船は、全寮制の時代が長く、学校と寮、島民と島の風土が多くの若人を見守り育てました。商船生の青春は、潮騒のようにこの地で満ち溢れています。

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